校長日誌

終業式・校長講話「空は、場所を越えて、私たちの心をつなぐ」

 皆さん、おはようございます。
 突然ですが、皆さんは空って好きですか。星って好きですか。

 今日は、2学期を締めくくりにあたり、私の好きな空にまつわる話を少しさせていただきます。

 実は私は、小さい頃から空が大好きでした。特に飛行機を見るのが好きで、幼いころは、「いつかパイロットになりたい」と本気で思っていた時期もありました。飛行機に乗って大空を自由に駆け巡りたい、地球上のあらゆる場所に立って、素晴らしい自然をこの目で見てきたい、そんなことを夢見ていました。
 大人になった今でもその気持ちはずっと続いていて、飛行機が飛ぶ姿をぼんやり眺めたり、星空を見上げたり、時間があれば空の写真を撮るのが私のささやかな楽しみです。地理教師になったのも、元をたどれば、この空好きが高じたのかもしれません。 そして今、私は、縁あって宇宙研究会のゲスト顧問を務めています。先日も、会員のみんなと一緒に校舎の屋上で、ふたご座流星群を観測しました。寒い夜でしたが、澄んだ冬の空を流れていく光跡を見ながら、改めて「空は勇気をくれる」と感じました。
 だから私は、壮行会で関東大会や全国大会に挑戦する熊女生に向けて、いつもこう伝えているんです。「熊谷の空と大会会場の空はつながっている。空を見上げれば、いつだって熊谷から応援しているみんなの思いが届く」と

 空は、場所を越えて、私たちの心をつなぐ存在なんです。そんな「空」に惹かれて生きてきた私が、皆さんに紹介したいお話が二つあります。

 一つ目は、かつてJAXAの宇宙飛行士だった山崎直子さんの物語です。
 大学卒業後はメーカーの技術者として働き、やがて結婚し、出産し、一度は「宇宙飛行士なんて自分には無理」と思っていました。しかし、育児休職中のある夜。泣きやまない赤ちゃんを抱っこしてベランダに出ると、澄んだ冬の夜空に星が広がっていました。その瞬間、胸の奥にしまい込んでいた思いがよみがえったといいます。「そうか、私は本当は宇宙に行きたかったんだ」と。そこから山崎さんは、過酷な宇宙飛行士選抜に挑戦します。何段階もの試験、極限状態を再現した訓練、、、娘はまだ幼く心が折れそうな日もあったそうです。そんなとき、夫の一言が支えになりました。「できない日があっていい。挑戦している君自身が尊いんだよ。」この言葉に背中を押され、山崎さんは諦めず努力を続け、ついに宇宙飛行士に選ばれました。
 そして2010年、スペースシャトル「ディスカバリー号」で宇宙へ。無重力の窓から青い地球を見下ろしながら、こう思ったそうです。「あのとき、星空を見て夢を思い出して本当に良かった。」

 二つ目は、アポロ13号の物語です。
 これはトム・ハンクス主演、ロン・ハワード監督による1995年制作の映画「アポロ13」にドラマチックに描かれているので、興味のある人はそちらを是非観てほしいのですが、1960年代、米ソの東西冷戦下で、ミサイル技術の開発でソ連としのぎを削り合っていたアメリカは、有人宇宙船で人類を月面に送り込むというアポロ計画を打ち立てました。アポロ13号は1970年に計画された7度目の有人飛行でしたが、打ち上げから 56時間後、酸素タンクが爆発。宇宙船は生命維持機能をほぼ失い、世界中の人々が帰還は不可能と絶望しました。しかし、乗組員も地上のNASAの職員も、誰ひとり諦めなかったのです。「戻ってくる可能性は0.1%しかないのか?」と記者に問われたNASAの管制官は、こう答えています。「0.1%もあるなら、諦める理由はそこにはありません」と。
 膨大な計算、限界までの工夫、眠らない管制室。そして互いを励まし合い、絶望の中でも挑戦を続けた結果――アポロ13号は奇跡の地球帰還を果たしたのです。地上管制チームの指揮官ジム・ラヴェルは後にこう言いました。「あれは奇跡なんかじゃない。私たちが諦めなかったから帰れたんだ」と。 

 これらが皆さんに伝えるのは、夢は一度諦めても、また拾い上げればいい、ということです。これは 山崎 直子 さんが教えてくれました。夢には年齢制限も期限もないのです。仲間の思いやりが、挑戦を支える。パイロットも宇宙飛行士も、一人では空を飛べません。そして、可能性はゼロでない限り、諦める理由にはならない。これは、アポロ13号が証明しました。こうした物語は、諦めないこと、努力し続けることが大切なのだと教えてくれています。逆転不可能と思われる危機的な状態でさえも、目のまえの困難から脱しようとする力が、不可能を可能にしてくれるのです。この力のことをレジリエンスと言いますが、皆さんにも、是非このレジリエンスを身に付けてほしいと思います。

 この2学期、教室でも、部活動でも、進路でも、皆さんはそれぞれの挑戦をしてきました。うまくいった人、悔しい思いをした人、いろいろな経験があったと思います。でもどうか忘れないでください。挑戦を続ける限り、皆さんの空は開けていきます。諦めなければ、道は必ず現れます。そして、あなたが困ったとき、きっと誰かが支えてくれます。

 冬休み、ふと空を見上げてみてください。美しい夜空の星々が皆さんに勇気を与えます。空はいつだって、皆さんに何かを語りかけてくれるのです。 

 令和7年が終わります。皆さんにとってこの1年はどんな1年だったでしょうか。年が改まり、新たな希望の1年がスタートする3学期、また元気な皆さんと会えることを楽しみにしています。どうか良い冬休みを迎えてください。
 3年生の皆さん、ここが踏ん張りどころ。頑張ってください。応援しています。

「熊女では、生徒一人ひとりが、夜空にきらめく星々のような美しい輝きを放っています。ぞれぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが熊女なのです。」

それでは新年1月8日(木)、皆さんと元気に再会できることを、、、

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