火災避難訓練、災害は忘れずにやってくる
学期末の今日、火災に特化した避難訓練を実施しました。
熊谷市消防本部・熊谷中央署から女性消防士を含む消防士の方々が来校され、私たちの火災訓練を支援してくださいました。本校OGの消防士からは「女性消防士の活躍」について、特別な講演も行っていただき、消防の世界を垣間見る機会となりました。かつて英語でFiermanと呼称された消防士は、男女の消防士が活躍することから、Firefighterと呼ばれるようになって久しいですが、火災や救命の現場で、女性ならではの視点で活躍されていることを大変嬉しく思います。
熊女生の皆さんも、将来の仕事の一つとして、考えてみてもいいですよね。
【訓練後の講話から】
皆さん、本日の火災避難訓練はいかがだったでしょうか。今朝は、熊谷消防の皆さんにも見守られながらの訓練でしたが、緊張感を持って臨むことはできたでしょうか。どうしても訓練というと、リアルさと緊迫感に欠けてしまう傾向がありますが、こうやって身体を動かしておくことがとても大事だと思うのです。
この国に暮らす以上、何十年かに一度は大きな地震やその他の災害が襲ってくるかもしれないということを理解するとともに、日ごろから防災意識を持つことが大切です。今年元日には能登半島地震が起き、被災地域では、復興の途上の中、震災から1年を迎えようとしています。また、今年8月には、日向灘沖で発生した地震により、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出され、日本中が驚き、戸惑い、お米の価格まで高騰するというおまけまでつきました。
7月にも言いましたが、「天災は忘れた頃にやって来る」のではなく、「忘れずにやってくる」という状況です。物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦は、その著書の中で「…戦争はぜひとも避けようと思えば人間の力で避けられなくはないであろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけには行かない。その上、(中略)容易に予知することができない。最後通牒も何もなしに突然襲来する」と述べています。
火災もそうです。予告もなしに発生するものです。しかし、火災は人の不注意から発生することも多く、火の取扱いに十分な注意を払っておけば失火を防ぐことができます。
火災で発生する煙の速さは、水平方向では毎秒0.3~0.5mですが、垂直方向にはその10倍のスピードで煙が広がるそうです。そして、この煙には、建材や家具等に含まれる化学物質も含まれますが、何より怖いのは、一酸化炭素を多く含んでいることです。生命を維持する上で欠かせない酸素は、血液の赤血球、ヘモグロビンによって体内に運ばれますが、血中に一酸化炭素が入ると、へログロビンの200倍という強さで酸素と結びつき、二酸化炭素に変化します。この反応によって血中内の酸素が失われ、酸素欠乏状態となって死に至るのです。
本日の訓練は、実際の火災にどう対応し、いかに安全に避難するかを体験したわけですが、皆さんは高校生です。小さい子供のように正しく逃げる、正しく身を守るということだけでなく、災害そのもののメカニズムをよく理解し、防災・減災という視点から、命の守り方を考えてほしいと思います。
この後は、消防署の方からご指導をいただきます。最後までしっかり聴きましょう。
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