校長日誌

始業式(心を強く持って、粘り強く最後まで頑張ること)

 新学期がスタートしました。3年生は共通テストまであと10日となり、いよいよ本格的な大学入試シーズンを迎えます。ここまで来たら、体調に留意し、これまでの自分の頑張りを信じて、最後まで諦めることなくチャンレンジしてほしいと思います。
 1・2年生にとっては、共通テストまでのカウントダウンが始まっています。1年生はあと2年、2年生はあと1年です。この時間は全国の高校生たちに平等に与えられているものです。どんなマネジメントを行うかは貴女しだい。目標とのギャップをアセスメントし、そのギャップを埋めていくマネジメントをしっかり行っていください。
 始業式での校長講話を掲載します。

【校長講話】
 皆さん、おはようございます。
 令和7年、新しい年のスタートです。十二支の暦で言えば今年は「巳年」です。「巳」とはヘビを意味しますが、古来、神聖な動物として崇められてきました。脱皮を繰り返して成長していくさまから、復活と再生のシンボルとして縁起の良い動物とされています。新しい年を迎え、時には困難に直面することもあるかもしれませんが、負けずに粘り強く頑張っていきましょう。特に、大学入試共通テストまで残り10日となった3年生の皆さん、強い心をもって、粘り強く最後まで諦めずに頑張ってください。
 受験生にとって、この時期はインフルエンザ等の感染症に注意することと、当日のお天気に上手く対応することが大切です。首都圏ではほんの10センチ程度の積雪でも、交通機関が大混乱となるため、受験日当日のお天気はとても気になるところです。

 今朝は、「強い心で最後まで諦めなかった」ある女子中学生のお話を紹介します。
 これは、今から15年前のお話になりますが、川越に住む女子中学生が、石川県輪島市にある日本航空石川高校の推薦入試を受けようと、お母さんと一緒に、試験会場に向かっていたときのことです。彼女は、中学1年生の時、航空自衛隊のブルーインパルスの華麗な飛行を見て以来、パイロットになる夢を持ち続けていました。母と娘は試験日の前日に川越を出発し、新幹線と在来線、バスを使ってその日の夕方には輪島市に到着する予定でした。当時は北陸新幹線の開通前で、在来線に乗り換える必要があったのです。上越新幹線で新潟県長岡市まで行くと、あたりはものすごい大雪で、在来線は立ち往生のうえに、復旧の目途さえ立たない状況だったそうです。中学生は「もう間に合わない」、「空を飛ぶという私の夢は終わったんだ」そう思ったそうです。日付が変わって、試験当日の午前0時、試験会場までの道のりはまだ300キロありました。
 中学生は、雪の降りしきるホームに立ちすくみ、只々泣くしかありませんでした。しかし突然、彼女のお母さんが「諦めたら終わりよ」と娘をたしなめると、大雪の中、長岡駅を降りて、道路を走る車に向かって傘を振り回し始めたのです。そうです、ヒッチハイクを試みたのでした。いつしか外は吹雪になっていましたが、二人は何時間も歩き続けました。
 午前4時半ころ、ガソリンスタンドで給油している大型トラックが目に入りました。運転手に駆け寄って事情を話すと、神戸に行くというその運転手は「金沢までなら」と二人を乗せてくれました。運転手は「俺にも同じ年頃の娘がいるんだ」と言い、「受験生なんだから、少しでも寝ときな」と川口さんの体調を気遣ってくれたそうです。
 夜が明けるころ、トラックは金沢に入りました。しかし、金沢からでも輪島までは路線バスで2時間以上かかります。すると「よし、輪島まで行っちゃる」と、その運転手さんは突然トラックの進行方向を変え、試験会場に向かってくれました。二人が試験会場に着いたのは午前9時、試験開始のわずか10分前でした。運転手さんは連絡先も告げずに去って行きました。
 このように、人生にはいろいろなことがあります。強い心を持って挫けず、弱音を吐かずに遮二無二頑張ることが必要な場面もあるのです。

 突然ですが、皆さんはお笑い芸人のゴルゴ松本さんをご存知でしょうか。
今の深谷市、旧花園町出身で、熊谷商業時代は野球に打ち込み、春の選抜甲子園大会も経験したことのある方です。その松本さんは、2011年ころから少年院を訪問し、「命の授業」を行っていることでも知られています。ご本人のお笑いのネタである「漢字」を使った講演は、ウィットに富んだ素晴らしいものです。その松本さんが「強い心を持つこと」について、こんなお話をされています。

 弱音を「吐」かなければ夢は「叶」う。

「弱音を吐く」と云うのは非常にネガティブなことであり、人間の口というものは良いことも悪いことも吐き出すものなので、口にプラスとマイナスで「吐く」という字になる。だが、そのマイナスを取ると「叶う」という字になる。弱音を吐かなければ夢が叶う。マイナス思考を無くしてプラス思考になれば願いは叶うというのです。
まったくそのとおりだと思います。 古くから「1年の計は元旦にあり」と言います。多くの人が、新たな年を迎えて、その年の目標を立てています。皆さんも、「今年こそは」と目標を新たにしているはずです。ぜひ「強い心を持って」頑張って欲しいと思います。

 ところで、先ほどの中学生はその後どうなったと思いますか。
 実は、時間ギリギリで間に合ったその試験で課された問題は「私が感動したこと」という題の作文でした。彼女は、パイロットになると言い出した自分に、最初は猛反対しながらも最終的には懸命に励ましてくれた母のこと、神戸への積み荷の到着が遅くなることを承知でわざわざ遠回りして会場に送ってくれた運転手さんのことを思い浮かべながら、懸命に書き上げたそうです。そして、見事合格しました。彼女は、その後、航空大学校に進学すると、ついには憧れの航空会社に就職することとなりました。
 弱音を吐かず、心を強く持って頑張った人は、夢を叶えることができるのです。

 熊女では、生徒一人一人が色とりどりの花を咲かせています。勉強に頑張る、学校行事に精力的に取り組む、そして、部活動に夢中になる、様々な場面を通じて、それぞれのゴールを追い求め続けています。
 それぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが「熊女」なのです。

 

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