校長日誌

No.54 7月29日(水)「東野圭吾さんのこと」

 作家の東野圭吾さんが68歳の若さで亡くなりました。ミステリー作家としてデビューしたのが1985年、私が大学生の頃です。東野さんは大阪府立大学(現大阪公立大学)の電気工学科を卒業後、エンジニアとして働きながら創作活動をし、27歳でデビューしました。物理学者を主人公とした「ガリレオ」シリーズに見られるように、理系分野、特に数学や物理学を中心にその知識を有効かつ効果的に使い、数々の作品を残しました。

 2006年「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞された時の記者会見で、ご本人は本嫌いな少年だったので本が嫌いでも読める小説をという思いで書き続けたと語っていたのは意外でした。メディアにはあまり現われない東野さんがどのような経緯でミステリー作家を志したのか、41年間で106冊の著書を書きあげる、そのエネルギーと発想の源は一体何なのかを知りたくて、東野さんご自身のドキュメンタリー番組があったらいいのにと思ってしまいます。

 熊女生の皆さんも東野圭吾さんの作品を読んだり、東野さん原作の映画やドラマを見たりしたことがあると思います。皆さんはどの作品が好きですか?私はたまたま買った「流星の絆」が東野さんとの出会いでした。少しの間入院することになった妻にその本を貸して、それがドラマ化され、妻が主人公のアイドルを気に入って、その後、そのままアイドルグループの推し活に熱中することになるなど我が家にとっては大きな影響がありました。家には東野圭吾さんの文庫本が結構あります。私が知らない間に妻が買っていた本もあります。

 ちょうど村上春樹さんの「街とその不確かな壁」の上巻で読むのに疲れていた時に、本棚に東野圭吾さんの「手紙」を手に取り、久しぶりに読んでみようとページを進めていたところでした。展開が早く、読みやすい文章で、結末はわかっているのに先を急いで読みたくなってしまうのが、東野さんの著書です。「ナミヤ雑貨店の奇蹟」も読みたくなってきました。ちなみに、どちらも映画化されています。そう言えば、デビュー作の「放課後」をまだ読んでいません。この夏休み中に読んでおこうと思います。

 親交の深かった作家の奥田英朗さんは「うぬぼれたところやいばったところが全くなく、愚痴を聞いたこともない。編集者にも優しく人気のある人だった。」と語っています。人としても素晴らしい方だったのですね。もう新作を読むことはできませんが、読んでいない東野さんの作品はまだまだあります。急がずゆっくりと読み進めたいと思います。ご冥福をお祈りします。