校長日誌

始業式・校長講話「大雪などの有事に備えよ」

第3学期始業式
 熊谷市の最低気温が氷点下3.5度を記録した寒い朝。冷蔵庫のような体育館ではありましたが、熊女の第3学期始業式を行いました。新年の希望に燃える900余名の熊女生の元気な姿を見てとても嬉しくなりました。令和7年度の集大成として、今年の干支である午(馬)のように、最後まで力強く走り抜けてほしいと思います。

【校長講話】
 皆さん、おはようございます。
 約束どおり、こうして皆さんと再会できたことをうれしく思います。

 さて、二十四節気では、今週「小寒」、そして20日には「大寒」を迎え、冬の寒さが最も厳しい時期となりました。日本では、この時期の水「寒の水」は雑菌が少なく、発酵がゆっくり進むことから、酒や味噌、しょう油などの「寒仕込み」が珍重されてきました。厳しい環境が、よりよいものを育てるという考え方があります。 

 今朝はそんな寒さの中で起きた大雪災害のお話をします。

 平成26年、2014年2月、関東地方は2週続けて記録的な大雪に見舞われました。高校3年生の皆さんが小学校1年生のときの出来事ですので、記憶に残っている人は少ないかもしれませんね。
 地学基礎や地理総合で学習したように、関東地方に雪がもたらされるのは、西高東低の冬型の気圧配置ではなく、大気下層に寒気が入り込んだところに、湿った暖かい大気からなる南岸低気圧が発達した場合に限られます。この時の大雪では、秩父で98センチ、熊谷でも62センチの積雪を観測し、首都圏の交通は完全にマヒ状態となりました。死者は9県で26名(うち埼玉県内は3名)、重軽傷者は21都道府県で701名という、平成で最大規模の降雪被害となりました。

 この大雪の中で、皆さんの先輩である熊女の3年生が大学受験に向かった日の話を、その先輩の母親、実は私の知人なのですが、その目線でお話しします。

 2月15日、母親は夜明け前に目を覚ましましたが、カーテンを開けた瞬間、言葉を失いました。外は一面の雪、熊谷の街が、音を失ったように静まり返っていました。時計を見るとまだ午前4時でしたが、テレビをつけると、「全線運転見合わせ」「再開の見通し立たず」そんなテロップばかりが流れています。実際に、JR高崎線は前日の深夜から全線で不通、都内から鴻巣駅までの区間は15日の夜に復旧することになりますが、北鴻巣駅以北は終日運休という状況でした。「今日は無理かもしれない」、そう思ったとき、隣の部屋から聞こえてきたのは、娘が受験の準備や身支度をする音でした。その姿を見て、母親の胸に浮かんだのは不安よりも悔しさだったといいます。「この子は、どれだけ準備してきたのだろう」「どれだけ我慢して、どれだけ自分を律してきたのだろう」。
 母親は、「行けるかどうかは分からない。でも、行こうとした人だけが後悔しない」と娘に伝え、二人で雪の中に出ました。駅に着くと人が集まっていました。同じように、子どもの横に立つ母親や父親の姿がありました。誰もが口数は少ない。でも、その沈黙の中に、「どうか、この子たちの努力が報われますように」という祈りが、確かにありました。長い行列を待ち続け、なんとかタクシーに乗れました。タクシーも雪道に苦戦を強いられていましたが、大宮から都心方向が運転再開となると、親子はタクシーを降り、電車で移動しました。
 親子が大学に着いたのは、3時間遅れで実施されることとなった試験開始の直前でした。娘は濡れた靴のまま、試験会場に向かいました。その背中を見送りながら、母親は思ったそうです。「ここまで来た。あとは信じるしかない」と。

 果たして、その先輩は第一志望に合格しました。
 母親は後にこう語っています。「合格したことよりも、あの雪の日に前を向いて歩いた娘の姿を、私は一生忘れない」。

 実は、昨年も大雪で試験会場になんとか辿り着いたという女子中学生の話をしました。私も皆さんを信じて送り出す側の人間です。ここまで来たら、皆さんの努力を自然災害なんかで無に帰させたくはない。昨年、大雪の話をしたら、関東地方はほとんど雪の降らない受験シーズンとなりました。なので、ゲンを担いで、再び大雪に打ち勝った話をしてみた、というわけです。人生、何が起こるかわかりませんが、備えあれば憂いなしです。大雪等のトラブルが起こらないことを祈っています。

 

 1・2年生の皆さん向けに、違うお話をします。

 この冬休み中に「土曜授業のアンケート」を実施させていただきました。回答は本日までですので、まだの人は、Google Classroomから回答をお願いします。今回の目的は、皆さんが熊女の土曜授業をどのように受け止めているかを調査するためのものです。 皆さんからの意見を読む中で、皆さんの側に誤解があるようでしたので、ちょっと解説をさせていただきたいと思います。「土曜授業について、改善してほしい点があれば書いてください」という問いに対して、次のような意見が多く見られました。

・土曜授業を月1回にしてほしい
・土曜授業、模擬試験、土曜授業と連続するとキツイので、模擬試験を土曜授業にカウントしてほしい

 というものです。結論から言うと、どちらも現状ではできません。その理由を説明します。

 まずは単位について解説します。
 高校では、50分の授業を週1回、年間35週受けると1単位を履修・修得したことになります。1単位とは、1年間を通した学習量を示しているとお考えください。土曜授業については、文部科学省および埼玉県教育委員会の定めた基準により、月に2回程度までが原則、それも授業公開を前提として実施することが条件です。そして、その授業を単位として認定するために、土曜授業を隔週で4コマ実施して、その学習量2単位分を確保する必要があります。つまり、土曜授業で2単位を履修・修得するには、年間35週にわたり隔週で4コマの授業を行う必要があり、月1回の実施では必要な学習量を賄うことができないわけなのです。

 次に教育課程について解説します。
 熊女の教育課程は年間34単位で編成されています。このため、平日の授業で32単位、隔週土曜授業で2単位を履修・修得し、合計34単位としています。別の土曜日に実施している模擬試験については、業者に学校を提供しているだけで、本校の教育課程外の活動であるため、たとえ土曜日に実施されていても、土曜授業の日数や単位数としてカウントすることはできません。これも、文部科学省および埼玉県教育委員会の定めによるものです。

 残念に思う気持ちは分かりますが、本校はこの制度の枠組みの中で、生徒の学びを保障する時間割を編成しているのです。

 
 令和8年、新たな年の始まりです。
 今年の干支は「丙午(ひのえうま)」です。かつては迷信から敬遠された年ですが、今日では「情熱と刷新の年」と前向きに捉えられています。変化を恐れず、一人一人が自らの力を信じて、新しい一歩を踏み出す一年にしていってほしいと願っています。
 時には困難に直面することもあるかもしれませんが、負けずに粘り強く頑張っていきましょう。特に、大学入試共通テストまで残り9日となった3年生の皆さん、強い心をもって、粘り強く最後まで頑張り抜いてください。 

 熊女では生徒一人ひとりが色とりどりの個性という花を咲かせています。
 それぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが熊女なのです。

 

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