2019年2月の記事一覧

理科教育研究発表会(高等学校の部)に参加しました。

 2019年2月9日(土)に、平成30年度理科教育研究発表会(高等学校の部)が、埼玉大学にて行われました。前日からの寒気の流入で寒さも強く、降雪もある中でしたが、全体ではポスター 113点(物理:21点、化学:33点、生物:44点、地学15点)、口頭発表54本(物理:27本、化学:10本、生物:9本、地学:8本)の発表がありました。

 本校からは科学部の6名(2年生1名、1年生5名)の生徒が参加し、ポスター発表をしてきました。

 開会式では、埼玉大学学長の山口 宏樹先生より、「あり得ないと思われる情報を丁寧に分析・解析することが、新たな発見につながりうる。」 「AIの情報を鵜呑みにしない。ヒトが入力設定をするのだから。入力が誤りならすべて誤りとなる。つまり、ヒトがいかなる目的で正しく入力設定するか、が大切なことである。その思考を磨けるのはヒトしかいない。だからこそ、自分の目で物を見て判断し考えて、納得できるまで考えてください。」というお話がありました。
自分自身で考え、常識にとらわれない、大きな視点で柔軟に考察することの大切さをあらためてご指南いただき、今回の発表がその一助になればとの事でした。その後、10:00~11:30まで、各会場に分かれポスターセッションが行われました。本校からは、化学分野2つ、生物分野1つの、計3点を発表しました。

(1)アンタークチサイトの結晶生成      2年 宮下 葉南子
    室温で液体に戻るという珍しい鉱物であるアンタークチサイトの結晶生成。
(2)尿素の結晶の作り方の工夫        1年 大友 真歩
    尿素の針状結晶を、きれいに作る工夫を、試行錯誤しています。

(3)身近な野菜の光合成色素等の蛍光の観察  1年 黒澤 日南 
    様々な野菜の色素抽出をして、蛍光の観察をしたら、多くのものとは違う蛍光が
    見られたものがあった。その蛍光物質を探求しています。

      

  降雪のため、予定を繰り上げて12:20~15:00頃まで、口頭発表が行われました。会場は5つで、物理2会場、化学・生物・地学は各1会場でした。

 それぞれの着眼点で、工夫された実験や観察を蓄積した研究発表を数多く聞くことができ、また、ポスターを活用したプレゼンテーションも経験することができて、大変有意義な発表会参加となりました。

*本校はSSH経験校として、科学部を中心に、科学についての興味関心のある生徒へ、視野を広げ様々な体験のできるプログラムを用意しています。関心のある方は、学校説明会で質問してください。また、土曜公開授業時の午後に、生物室まで様子を見に来て頂ければ、紹介、説明いたします。

群馬大学による実験講座が開催されました


 2019年1月26日(土)に、群馬大学の「女子校ネットワークを使った理工系進路選択支援プロジェクト」が、本校で初めて行われました。
 群馬大学の先生と大学院生・学部生が本校に来られて、2講座の実験を実施してくださいました。


 

 第1講座は、「環境の実験」で、渡良瀬川の土を採取し、それを水と混ぜ、上澄み液をイオン分析する、という講座でした。講師は理工学部の板橋英之先生です。

 実験では渡良瀬川の草木ダムから採取してきた土に含まれる銅をパックテスト(溶液を試薬と混ぜて、含有量によって色が変化する)を利用して調べ、草木ダム全体で銅は何トンあるかを計算し、銅を集めて売ったらいくらになるかを班ごとに計算しました。また、実際にこの事業をやってみたいかについても話し合い、班ごとに意見を発表しました。


 第2講座は、「チョコレートを科学する」テーマで、チョコレートをおいしく作る方法を科学的に理解する事が目的です。生徒は、15名が参加しました。講師は、理工学部分子科学部門の奧津哲夫先生です。大学院生と学部生の2名の方も助手として来校してくれました。
 チョコレートは、カカオ豆を炒った後に、絞った油(カカオ脂)と絞り粕(カカオマス)、砂糖、ミルクと混ぜて加工します。チョコレートの構造として、カカオ脂がその品質を決めているとのこと。口溶けの良さは、カカオ脂の結晶構造に鍵があるのだそうです。つまり、カカオ脂の結晶形は、同一化学組成で異なった結晶構造をとる結晶が、6種類(I~VI)もあり、その中で最もおいしいものが<V型>結晶とのこと。 「ココアバターの液体から、V型多型をいかにして選択的に結晶化させるか?」:この実験を経験させて戴きました。


 ブロックチョコを先に少し味見をして、口溶けは良くないことを確認します。その後、一定温度でチョコレートを湯煎し冷やす等を繰り返すことで、完成です。

     

試食したところ、実験前と違い、チョコレートは口溶けも良くとてもおいしかった! つまり、V型結晶を増やすことができ、融点33℃のV型結晶が、口の中で程良くとろけて、味と香りを一気に放出したためとのこと。製菓職人の方は、この方法を体得して、おいしいお菓子を提供してくれているそうです。興味深かったです。

 以下は、参加した生徒の感想です。

<生徒の感想>
・チョコレートのおいしさには、科学的な事が関係していると知ることができました。このようなことを、実際に実験して確かめることができる機会はあまりないので、とても良い経験になりました。

・普段食べているものを使った実験をしていただき、あまり見ないもので実験するよりも、理解を深めやすかったです。チョコレートはほんの少し違う事をするだけで、全然違うものになるのだなと思いました。チョコには、6段階あり、その段階によって、口の中での溶け方が変わり、味にも大きな差が出てしまうということがわかりました。家でチョコをつくったときに、白くなってしまうことがあり、原因がわからず疑問に思っていたけど、今回の実験で、そのチョコが固まる段階に原因があると分かって良かったです。普段何気なく口にしているチョコが、こんな奥深いものだったとは知らず、良い経験になりました。また、このような機会があれば参加したいです。