校長日誌をリニューアルしました。過去の「日々是好日」の記事も掲載中です。

 

                   

 

校長日誌「Principal's log」では、日々の学校での出来事などをお伝えします。また、式辞・校長講話等での掲載も行っています。

校長日誌

Principal's log

令和7年度入学式(校長式辞)

式辞

 春風駘蕩の今日の佳き日、PTA会長  様、本校同窓会さくら会会長  様をはじめ、御来賓の皆様方、並びに保護者の皆様の御臨席を賜り、かくも盛大に「令和七年度 埼玉県立熊谷女子高等学校 入学式」を挙行できますことは、本校関係者にとりまして、このうえない喜びでございます。

 ただ今、入学を許可いたしました、三百十八名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を心から歓迎いたします。
 本校は明治四十四年に埼玉県立熊谷高等女学校として開校し、今年で百十五年目を迎える県下有数の伝統校です。昭和三年に制定され、以来百年近く歌い継がれてきた校歌には、熊女の矜恃が謳われています。一番には「学びの道に 進まばや」とあり、学問を究めるという本校の基本姿勢が、二番には「やさしき心 養はん」とあって、思いやりと慈しみの心をもつという本校の生徒像が、最後には「かざさん 花の冠を」として、夢や理想を希求する本校のチャレンジ精神が表れています。いずれも、熊女での学びの本質を示すものであり、長年大切にされてきたフレーズです。この先人の思いと、連綿と続く熊女の伝統をしっかりと受け止め、今日から始まる新たな学校生活に生かしていってください。

 熊女でのスクールライフをスタートさせるうえで、心掛けてほしいことを、今日は二つほどお話させていただきます。

 一つは、「昨日の自分を超えていく」ということです。
 生きるということは、とても大変なことです。夢や目標があっても、他人と比較して思い悩んだり、世の中の考え方に流されて、知らぬ間に自分本来の夢や志とは違う方向に進んでしまうこともあるかもしれません。人は皆、自分にとっての最適解を求めて、「自分クエスト」の旅をしているのだと思います。旅の途中、アイテムを集め、手にしたマップを歩き、行く手を阻むダンジョンをクリアするなど、経験値を高めながらゴールを目指していきます。ここでは、別の誰かと競っているわけではなく、自分で決めた高みやゴールを目指し、己の限界に挑戦していくものです。
 今の自分は昨日までの積み重ねによって成り立っているのだから、昨日の自分ができなかったことを今日の努力によって乗り越えていく、つまり「昨日の自分を超えていく」ことを実践していくのです。決して諦めず、投げ出さずにその努力を続けていけば、不可能と思えたこともやがて可能となっていきます。「The Opposite of impossible is not possible. It’s a challenge.(不可能の反対は可能ではない、挑戦である)」とは、MLBで活躍したジャッキー・ロビンソン選手の言葉です。彼は、黒人差別を打ち負かし、メジャーの文化を変えることを成し遂げましたが、何事にも果敢に挑戦することで不可能は可能となります。人間にとって今を生きるというのは大切なことですが、どうせなら過去の結果としての現在より、未来の原因としての現在をより大切にすべきだと思います。

 もう一つは「家族の絆を大切にしてほしい」ということです。
 私の好きな映画に、ケビン・コスナー主演の「フィールド・オブ・ドリームス」という作品があります。八十年代の古い映画ですが、私がお勧めする名作の一つです。
 アメリカ中西部でトウモロコシ農家を営む主人公は、若い頃に父親と喧嘩して家を飛び出し、和解できないまま父親と死別してしまったという過去を持っています。ある日、不思議なメッセージを受け取ると、周囲の反対を押し切ってそれを実行します。すると、かつてメジャーリーグで活躍した選手たちの霊がやって来るようになり、そこで野球選手を目指していた若かりし頃の父親と再会するという物語です。
 この映画が教えてくれるのは、家族の絆の大切さです。皆さんの家族は、皆さんが生まれ、皆さんを育てるのにそれこそ命を張って懸命に努力されたわけですが、すべてが上手くいくわけじゃない。子供との関係でもがき、傷つくこともあったはずです。皆さんが子供のときには気づけなかったことが、人として成長していく中で、家族を一人の人間としてリスペクト出来るようになる。皆さんの成長は家族の成長物語でもあるのです。
 ときに価値観の相違から意見が衝突することもあるでしょう。しかし、皆さんを愛してやまない家族です。きっと最後は理解をしてくれるはず。皆さんを支える基盤さえしっかりしていれば、どんな困難にも立ち向かっていけると私は信じています。

 この熊谷女子高校で、大きな夢や志を持ち、将来に向けて自己を磨き、常に昨日の自分を超えていくように努力してください。そして、一人の大人として、家族との絆を大切にするようにしてください。そして、ここ熊女では「一生の友」を見つけ、決して諦めず、粘り強く挑戦する気持ちを忘れず、様々なことに積極的に取り組んでほしいと思います。そんな皆さんの頑張りを本校の教職員は全力でサポートします。どうぞ、この熊女での高校生活を、かけがえのない青春(あおはる)を、思い切り楽しんでください。

 保護者の皆様におかれましては、重ねてお子様の入学のお慶びを申し上げます。本日、大切なお子様をお預かりいたしました。私たち教職員は、彼女たち一人一人の力をしっかり伸ばし、三年後には成人を迎え、立派に成長した姿で、本校を巣立ってくれるよう全力を尽くすことをお約束いたします。

 結びに、御来賓の皆様、並びに御列席の皆様の益々の御健勝、御発展を御祈念申し上げるとともに、今後とも変わらぬ御指導と御鞭撻をお願い申し上げ、式辞といたします。

 令和七年四月八日
   埼玉県立熊谷女子高等学校長 栗藤 義明

 

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令和7年度始業式(本当の正義とは何か)

 熊谷の桜が昨日満開を迎えました。
 日中の寒暖の差は激しいですが、春本番を迎えました。令和7年度熊谷女子高校の始動です。今年も「かざさん花の冠を」を合言葉に、夢や目標を追い求め続ける1年であってほしいと思います。

 今朝の始業式では、アンパンマンマーチの歌詞について考察してみました。
 
【校長講話】
 皆さん、おはようございます。

 待っていたかのように桜も満開となりました。今日から令和7年度の熊女が始動します。

 春は別れと出会いの季節と言いますが、新たな先生方を迎え、皆さんも一つずつ学年が上がり、新しい生活がスタートすることとなります。新しい環境で、新たな目標を掲げ、頑張ろうという気持ちで胸を膨らませているはずです。その気持ちを大切に、そしてその目標をクリアすべく頑張りましょう。熊女には多様な学びのチャンスがあります。iPadを核とした学びは「いつでもどこでも何度でも」を実現し、優良なコンテンツによる学習環境は県立高校中でもトップクラスであると自負しています。このチャンスをどう生かすか、それは皆さん次第です。

 改めて本校の矜恃である「かざさん花の冠を」を思い出してください。
 毎度の話で恐縮ですが、まずはその目標に対して、今の自分の実力がどこにあるかを正しく測ってください。そして、目標とのギャップをしっかり認識したうえで、そのギャップをどのように埋めるかを考えていきます。この埋め方は人それぞれですが、どんなリソースを使って、どう時間を管理して、自分を高めていくか、これこそが「学びのマネジメント」です。
 今日の午後には新入生も入学します。3つの学年が力を合わせ、この熊女を明るく楽しい学校にしてほしいと思っています。

 さて、今朝は「本当の正義」についてお話しします。
 この春、NHK連続テレビ小説「あんぱん」がスタートしました。このドラマは、アンパンマンの生みの親である やなせたかしさん とその妻 小松暢さん をモデルとした物語です。昭和初期の高知を舞台に、今田美桜さん演じる主人公 朝田のぶ が戦争や貧困を乗り越え、北村拓海さん演じる漫画家を目指す夫 柳井嵩 が夢を追い求め続ける姿を描いています。

 やなせさん とアンパンマンのエピソードは、小学5年生の教科書にも取り上げられているそうですが、アンパンマン誕生には やなせさん の戦争体験にその源があります。私が思うに、古今東西、人間の社会には思想の潮流が二つあって、「生命以上の価値が存在する」という説と「生命に勝るものはない」という説があります。人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。私たちの先人も、こうして戦いにのめり込んでしまったのです。やなせさん は、その戦いを通して「正義のための闘いなんてどこにもない」ということに気づかされるのですね。敗戦を境に、日本軍は「悪魔の軍隊」だ、などと言われるようになる。正義と思って信じていたものがある日突然反転しまう。正義の戦いだと信じ、特攻隊に志願して戦死した最愛の弟との別れ、こうしたことが やなせさん の心に突き刺さったのだと言います。

 本当の正義、決して逆転が起こらない正義とは一体何なのか。これがアンパンマンという絶対的な正義の味方を生み出すこととなりました。アンパンマンは、お腹がすいた子がいたら自分の頭をあげて、つまり、自分を犠牲にして、誰かを救おうとするヒーローなのです。これが やなせさん の問いに対する答えなのでしょう。仏教では、他人のために尽くすことを「利他」と言いますが、自分を犠牲にして、他人のために行動する利他の心、これこそ人間が持ち得る大いなる愛なのだと思うのです。
 TVアニメ化される際に作られた「アンパンマン・マーチ」は やなせさん 自身が作詞を手がけました。この歌は幼児向けながら、その内容は実に深い。特に、特攻して命を落とした弟さんのことを思いながら聞くと、その意味の深さに気づかされます。

 歌の途中の「何のために生まれて 何をして生きるのか 答えられないなんて そんなのは嫌だ
 弟さんはその答えを見つける前に亡くなってしまったんですね。

 そして、「今を生きることで 熱い心燃える だから君は行くんだ 微笑んで
 今を生きることができかった弟さんが、今を生きることができる世界にするために、自らを犠牲にしたことを表現しているようにも取れます。「微笑んで」というのは、戦いの正義を信じて特攻隊に志願したことを表現しているのかもしれません。

 この歌はアンパンマンを称えるようにも聞こえますが、その歌詞は戦死した弟さんのことを指しているのです。敵から皆を守ることではなくて、夢を見る事さえ許されない世界を終わらせて、子どもたちが夢を見られる世界を作ること。だから、「みんなを守るため」ではなくて「みんなの夢守るため」という歌詞になっているのだと思います。

 皆さんが授かったその命というのは、どのようにして生かしていけばいいのか。何をして生きるのかということは、熊女の日々の中においても、常に問い直していかなければならないことです。
 そして、正義とは何か、このことに答えを出すことは本当に難しい。正義は他人にジャッジされるものだから、自分の信念に従った行為が世の中の正義と相容れないことだってあります。私が思うに、利他の心だけが真の正義に近づける唯一のものなのかもしれません。皆さんには様々な花の冠があります。たくさんのことを経験し、多くのことを学び、利他の境地を忘れずに行動できたとき、本当の意味で正しいことをする、Do the right thing、ということになるのだと思います。

「かざさん花の冠に」というのは熊女の矜恃です。今年度も、それぞれの目標に向かってチャレンジの1年であることを期待します。 

 熊女では、生徒一人一人が色とりどりの個性という花を咲かせています。

 勉強に頑張る、学校行事に精力的に取り組む、部活動に夢中になる、様々な場面を通じて、それぞれのゴールを追い求め続けます。熊女の矜恃は3ばる(Tri-bal)から生まれます。

 それぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが「熊女」なのです。

 

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令和6年度修了式・校長講話(人生の歩み方について)

 皆さん、おはようございます。

 令和6年度が終わろうとしています。そして、それぞれの学年の修了を迎えました。
 皆さんは4月からは熊女を支える新3年、新2年へとそれぞれ進級します。百十余年の伝統は皆さんの手に託されているのですから、熊女の良いところを伸ばしていってください。

 私は熊女の矜恃を優雅に表現している校歌がとても好きです。一番にある「学びの道に進まばや」は今日の取組で言えば「学びのマネジメント」の力をしっかりつけることを謳っています。二番の「やさしき心養はん」は、熊女生らしい、優しさや思いやりの気持ちを育むことを意味しています。そして、皆さんが好きな「かざさん花の冠を」、目標に向かって諦めずに努力を重ね、自分のゴールに向かって栄冠を求めづける皆さん方の姿を現しているのだと思います。
 熊女の矜恃、それは、学びの道を追究せんとし、他人を思いやれる心優しき人になって、それぞれの人生のステージにおける目標に到達するために、たくましくしなやかに人生を歩んでいくことだと思います。

 今朝は「ある方の人生の歩み方」を紹介します。
 その方は、宮崎県出身の外科医「柴田紘一郎」さんという人です。先月19日に82歳の生涯を閉じられました。新聞には小さく訃報記事が載りましたが、この方のことを知らない人には気づかないくらいちっぽけな記事でした。

 柴田医師は11歳の時、祖父からもらったシュバイツァーの伝記を読んで医者に憧れ、長崎大学医学部に進学しました。その後、31歳の時、青年海外協力隊の一員としてケニアに渡ります。今でこそ、サファリ観光で行くのイメージがありますが、これは今から50年以上も昔のことであり、この当時、日本人が生活をするというのは、治安や衛生環境面で、大変ハードルが高かった時代でした。
 ケニアに渡った柴田医師は、派遣されていた3年もの間、首都ナイロビを中心に精力的に巡回医療に努めました。実はこのとき、当時の柴田医師には、日本に残してきた恋人がいました。ところが、3年の間に、彼女に縁談が持ち上がり、柴田医師のもとにそのことを知らせる手紙が届きます。柴田医師はその手紙に返信をするのですが、、、

 これは柴田医師の思いを綴ったものです。

(著作権の関係から「風に立つライオン」の歌詞は掲載しません)※外部歌詞掲載サイト

 この手紙、どこかで聞いたことがあるかもしれません。年代的には、先生方の中にはいるでしょうね。タネを明かすと、これは さだまさし さんの歌の歌詞なのです。

 この歌は、絵にも描けないほどの美しいアフリカの大地と自然、そこで直向きに医療と向き合う主人公の純粋で真直ぐな、医師としての職業観をダイナミックに表現しています。そして、人間のもつ大きな愛を、主人公の生き様を通じて、あるいは、彼女の幸せを願うという切ないメッセージを通じて感じさせてくれるように、私には思えます。皆さんはどう感じましたか。

 この歌は、さだまさし さんが、父親の主治医であった柴田医師から直接聞いた話にインスパイアされて生まれたものだそうです。「風に立つライオン」というタイトルで1987年に発表されましたが、学生だった私には大きな衝撃を覚えた曲でした。私自身、社会人になる直前でしたので、いろいろなことを考えさせられました。基本的には さださん の手によって書き上げられたものですが、物語のベースラインは柴田医師の実話に基づくものというのも感動をさらに大きくしたのだと思います。皆さんも、志を立て、自分の心に正直に生きる、そんな生き方を目指してほしいと思います。私は人生の究極のゴールは「誰かのためになること」だと思っています。自分の生き方や仕事に誇りを持ち、アフリカの医療に貢献してケニアの人々の多くの生命を救った柴田医師の姿は、「学問の道」に進み、「やさしい心」を養い、「花の冠」を手にすべく努力する皆さんの、これからの姿と重なるものです。

 実はこの熊女にも風に向かって立とうとする先生がいらっしゃいます。数学科の村松先生です。先生はこの4月から一時的に教師としての仕事から離れ、青年海外協力隊の一員として、アフリカ南部ナミビアに旅経ちます。どうかお気を付けて。ナミビアでの2年間で驚きと感動、貴重な経験を手にしてください。そして、その貴重な体験談を日本の高校生に伝えてください。

 熊女では、生徒一人一人が色とりどりの花を咲かせています。そして、先生方も様々な魅力と素晴らしい個性に溢れています。それぞれの個性が輝く学校、それが「熊女」なのです。

  

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関東大会(ソフトボール部)・全国大会(チアリーディング部)出場おめでとうございます!

 皆さん、おはようございます。
 この度のチアリーディング部の全国大会出場、そして、ソフトボール部の関東大会出場、本当におめでとうございます。

 熊女では生徒たちが学業に学校行事に部活動に頑張るという3バル(Tri-bal)に挑戦しているわけですが、その努力の重さは人それぞれかもしれませんが、その努力は誰一人変わず、等しく称賛されます。まさに「かざさん花の冠を」です。

 チアリーディング部は、USA Regionals 2025を勝ち上がり、明日3月25日から千葉県の幕張メッセで開催される「USA School & College Nationals」、つまり全国大会に出場することとなりました。いつも素晴らしい息の合った演技をしているチームですが、日頃の練習成果を存分に発揮して、熊女の名を全国に轟かせてください。

 ソフトボール部は、県民総体新人大会県大会を勝ち上がり、3月27日から東京都江戸川区で開催される第30回関東公立高等学校女子ソフトボール大会に出場します。こちらも団体競技ですから、一人一人の力を結集して栄冠を獲得すべく頑張ってきてください。

 それぞれのチームの皆さんのもつ身体的な力、それを開花させた努力、そして、諦めないという強い気持ち、これらによって全国や関東大会出場という栄光を勝ち得ることになったのだと思います。さらには、指導に当たられた顧問の先生方をはじめ、チームメイト、そして皆さんのご家族がいてくれたから、こうして大きな実をつけることができたのだと思います。

 それぞれのチームの皆さんの健闘を大いに期待しています。

 もしも不安な気持ちになったときは空を見上げてください。幕張や江戸川の空は熊谷の空とつながっています。当日は熊女のみんなが同じ空を見上げ、皆さんのことを応援しています。どうか安心して戦いに臨んでください。

 熊女では、生徒一人ひとりが色とりどりの花を咲かせています。勉強に頑張る生徒、学校行事に精力的に取り組む生徒、そして、部活動に夢中になる生徒、みんながそれぞれのゴールを追い求め続けている、正に「かざさん花の冠を」だと思います。

 ぞれぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが熊女です。

 

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ご卒業おめでとうございます! 第77回卒業証書授与式・式辞

【校長式辞】

 鳥語花香の今日の佳き日、本校PTA会長 様、本校同窓会さくら会会長 様 をはじめ、多くのご来賓の皆様、そして保護者の皆様のご臨席を賜り、かくも盛大に「埼玉県立熊谷女子高等学校 第七十七回卒業証書授与式」を挙行できますことは、本校にとりまして望外の喜びであります。

 ただ今、卒業証書を授与いたしました三百九名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんがこの三か年の間にたくさんの喜びと楽しさに溢れた時間を過ごしながら、また同時に様々な試練や困難を乗り越えて、今こうして卒業にたどり着いたことは、皆さんの生涯のかけがえのない財産であり、手にした証書は努力の証であります。
 これまでの皆さんの強い意志と弛まぬ努力に敬意を表します。 

 振り返れば皆さんが入学した令和四年は、改正民法の施行によって成人年齢が一八歳に引き下げられたことや、ロシアのウクライナ侵攻が始まった年でした。成人年齢の引き下げにより、皆さんには選挙権があり、ご両親の親権に服さなくなりました。親の同意を得ずとも、自分の意志で契約を結ぶことができるようになったわけですが、これは皆さんの自己決定(decision-making)を尊重するとともに、その積極的な社会参加を促し、社会を活力あるものにするという大きな意義があります。 
 だからこそ、世界各地で起きている紛争や対立などについても、対岸の火事として傍観するのではなく、自分事として考えてほしい。科学の技術革新はそのまま兵器開発の歴史でもありました。科学技術はいわば「プロメテウスの火」なのであって、プロメテウスが与えられた罰は、私たち人類に背負わされたものでもあるのです。
 驚くべきスピードで発展・進化していく情報化社会において、人工知能や生成AIが人間の持つ能力を凌駕せんとする今こそ、一人の大人として、人類社会の幸福に貢献できる、そんな人物であってほしいと思っています。

 さて、今日は熊女で過ごす最後の日です。
 この先の不透明で難しい時代を逞しく、そして、しなやかに生きていく上で、心に留めておいてほしいことを二つお話しさせていただきます。

  一つ目は「夢を追い続け、諦めず挑戦し続けること」です。
 「これは失敗ではない。うまくいかない一万とおりの方法を発見したのだ。」
 これは皆さんもよく知るトマス・エジソンの言葉です。エジソンは電球を実用化する際、実に二千個ものフィラメントを試し、ようやく低価格で効率的に生産できる電球を考案しました。気の遠くなるような努力を支えていたのは、夢を諦めない彼の熱意や情熱でした。エジソンは自分の夢を追い続け、諦めずに挑戦するという意味で、非凡の才能の持ち主だったのです。
 失敗とは人生を豊かにするスパイスのようなものだと云う人がいます。失敗や挫折のない人生なんてつまらない、人としての魅力もない。失敗や挫折の経験を素直に語れる正直さ、そこから諦めずに行動し、成長し続けたサクセスストーリー、そういうところに人は惹かれるのだ、と。
 皆さんのこの先の人生にも、失敗や挫折が待ち受けているかもしれません。しかし、そこから学び、己を磨く機会と前向きに捉えることのできる、何度でも立ち上がれる、強いレジリエンスを持った人であってほしいのです。

  二つ目は「心優しい人であること」です。
 熊女の校歌には「やさしき心養はん」というフレーズがあります。優しい心を育むことは本校の重要なミッションでもありますが、東京ディズニーランドでの心温まる接客エピソードにこんなお話があるのをご存じでしょうか。
 園内のレストランに二人でやって来た若い夫妻が「お子様ランチ」を注文しました。キャストである青年はマニュアルどおり断ろうとしますが、「亡くなった娘のために注文したい」との返事。聞けば、娘さんは生まれつき身体が弱く一歳の誕生日を待たず神様のもとに召されてしまったのだそうです。話を聞いた青年は「そうですか、ではご用意いたします」と応じると、「ご家族の皆さま、どうぞこちらへ」と二人を四人席の家族テーブルに移動させ、子供用の椅子を一つ運んできました。そして、「お子様はこちらに」とその小さな椅子に導いたのです。
 しばらくして、運ばれてきたのは三人分のお子様ランチでした。青年は「ご家族でゆっくりお楽しみください」と挨拶してその場を立ち去りました。二人は失われた子供との日々を噛みしめながら、お子様ランチを食べたということです。

 私は、人間にとって「諦めずに努力を続けること」こそ、その人の力を最大限に発揮できる原動力だと思っています。そして、人間だけが持つ「優しさや思いやりの心」こそ、争いごとや不幸から人々を解放する唯一の方法だと思っています。一人一人が夢を諦めずに努力を重ね、優しい気持ちを失わず、相手の立場に立って行動できさえすれば、この世の中は素晴らしいものになると信じているからです。 

 熊女を巣立ち、人生という大海原に漕ぎだしていく皆さん、皆さんの心のうちにある信念、自分の心の声を信じて、皆さんの人生を正々堂々と歩いて行ってください。 

 保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
 本校入学時と比べて立派に成長した卒業生の皆さんの姿を、職員一同とても頼もしく思っております。そして、この卒業を機に、さらなる大人としての成長を遂げてくれるものと期待しております。お子様の在学中、本校教育活動への格別のご支援とご協力をいただきましたことに、改めて衷心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 結びに、第七十七回卒業生の皆さんが、素晴らしい人生を歩み、未知なる地平に勇敢に旅立つことを心から願い、皆さんと同様、熊女愛がとまらない校長栗藤からの式辞といたします。

 

 令和七年三月十四日

   埼玉県立熊谷女子高等学校長 栗藤 義明

 

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予餞会の校長挨拶「わかたけ・卒業生の叫び8選」

 今日は予餞会(3年生を送る会)を行われました。
 「ク魔女の宅急便 ~愛と思い出のお届けです~」のキャッチコピーの下、明日で熊女を離れる3年生たちと楽しいひと時を過ごしました。

【校長挨拶】
 皆さん、こんにちは!
 文化委員のみんなが一生懸命に準備をしてくれました。
 3年生の皆さん、今日の予餞会を最後まで楽しんでいってください。

  先日完本した「わかたけ」の3年生のコメントから、校長の心に刺さった8作品をご紹介し、挨拶に代えたいと思います。

● 私と友達になってくれてありがとう。可愛くて大好きなかけがえのない存在です。

● 卒業後、物理学者になります。私に言わせれば、全てのホラー現象はホラに過ぎない。どんと来い、超常現象。

● 歩道橋、3年間頑張って渡った!

● アニメみたいな、ドラマみたいな、ミュージックビデオみたいな3年間でした。大切な友達と思い出は一生の宝物です。

● 3年間の熊女生活、いろいろカオスで楽しかった。みんな幸せならOKです。

● さよならジャンバースカート。もう一生着ないよ。

● いろんな人に「家からかなり遠いけど本当に毎日通えるの?」って言われたけど、熊女に来て本当によかった。

● 波乱万丈、怒涛の3年間。でっけえ女になったぞ。60文字で収まらないこの感情。剣道部、後輩、友達、みんな愛してるぞー。


 思いの丈はそれぞれですが、みな熊女愛に満ちてますね。
 ぞれぞれの熊女愛が輝く学校、それが熊女です。

 

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校内「ハンドボール・バスケットボール大会」始まる

 高校入試が一段落し、期末考査も終わった熊女では、今年度最後のスポーツ行事、ハンド・バスケ大会が開催されています。クラスの最後の思い出作りの機会として、生徒たちの士気が高まっています。

【校長挨拶(予定原稿)】

 皆さん、おはようございます。
 本日は皆さんが待ちに待ったハンドボール・バスケットボール大会です。
 お天気も春らしい陽気になってきました。

 さて、いつもの「く・ま・じょ」いきます。
まずは「屈強な心で臨む」です。本大会は今年最後のスポーツ大会です。熊女生としての矜恃、それは屈強に負けず、何事にも真剣勝負で取り組むことです。

 次に「間違いのないように」です。集合時刻を間違えた、選手交代のタイミングを間違えた、これでは勝利することはできません。正しい戦略や戦術をもって試合に臨んでください。また、ちょっとした間違いが怪我にもつながります。十分注意してください。

 最後は「ジョイフル」です。スポーツは楽しむことが大切です。
 JOY と JOY と JOY と HAPPYなピーポー♬(脳内再生中)
 という明るく楽しい気持ちで、ハンドボール、バスケットボールに取り組んでほしいと思います。ジョイフルな笑顔、ジョイフルな思い出を作ってください。

 今日はこの3つを意識して頑張ってください。「屈強な心」「間違いのないように」、そして、「ジョイフル」です。頭文字を読むともちろん「く・ま・じょ」となります。

 熊女では、生徒一人ひとりが色とりどりの花を咲かせています。
 ぞれぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが熊女なのです。

 

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トワイライト学校説明会へのご参加に感謝

 昨夜は、昨年12月に続いて「トワイライト学校説明会」を開催しました。正門付近を飾ったLEDなど(写真参照)は県立いずみ高校(さいたま市中央区)からお借りしたものです。寒く暗い時間帯に学校に足を運んでいただいた中学生・保護者の皆様に心ばかりのおもてなしです。いずみ高校の関係者の皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

 公立高校出願まであと1月というところですが、中学校3年生とその保護者の皆様向けに、最後の説明会として実施しました。今年度は6月の第1回学校見学会(教育関係者説明会)からスタートし、全部で7回の見学会・説明会を実施させていただきました。9月の説明会では地元FM局である「FMクマガヤ」による生中継(ライブ配信)をさせていただき、サイマルキャストで、遠方の方にも学校の様子を聴いていただく機会を提供することとなり、大きな反響をいただくことにもなりました。誠にありがとうございます。

 さて、一昨日公表された「令和7年3月中学校卒業予定の進路希望状況調査結果(令和6年12月15日現在)では、本校への進学を希望する中学生の数は「もう一息」というところではありますが、これまで大勢の方に足を運んでいただき、地域の皆様をはじめ、より多くの皆様に熊谷女子高校を知っていただく機会となったのだとしたら大変嬉しく思います。
 PR(Public Relations)とは、日本広報学会によれば、「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」とのことだそうです。私ども熊谷女子高校も、目の前の生徒・保護者はもちろんのこと、地域の皆様方からなる多くのステークホルダー(利害関係者)と双方向のコミュニケーションを行いながら、組織内に情報をフィードバックして自己修正を図りつつ、より良い関係を構築し続けていく、そんなマネジメントを行ってまいりたいと思います。これからも熊谷女子高校をご愛顧いただけますようお願い申し上げます。

 なお、蛇足ながら、来月2月8日(土)には、中学校1・2年生向けの学校見学会を実施します。主に令和8年度入試に向けたご案内となります。教育関係者の皆様のご参加もお待ちしておりますので、奮ってご応募ください(エントリーフォームは後日開設する予定)。

 

【説明会での校長挨拶】

 皆さん、こんばんは。
 本日はようこそ、熊谷女子高校にお越しくださいました。

 今回の「トワイライト学校説明会」は、熊女としては、初めての取組となっております。正門前のイルミネーションは、県立いずみ高校さんから電飾機材の一部をお借りしたものです。拙い装飾ではありますが、この時期、この時間帯に学校に足を運んでいただいた皆様への心ばかりのおもてなしです。
 さて、熊女は、埼玉県北部に最も古くに創立した、今年で115年の伝統を誇る女子高校です。お隣の熊谷高校とともに、古くから地域随一の進学校として、地域のリーダーや国内外で活躍する人材を数多く輩出してきました。学校の強み、入試などのご説明については、このあと担当が行いますので、私からは、熊女の魅力について4点に絞ってお話します。

  一つ目は「女子高校としての魅力」です。
 まず自分を包み隠さず「ありのままの自分でいられる」ことが挙げられます。熊女には「出る杭は打たれない」という言葉がありますが、正に一人一人の個性が尊重されます。また、居心地の良さ、安心感は共学校の比ではありません。「同じ価値観を共有する仲間と過ごす学校生活」は楽しいことだらけです。勉強でも学校行事でも部活動でも、貴女と同じように頑張ってきた、同じような経験・価値観を有する仲間の中で、安心して学校生活を送ることができます。よくクラスの雰囲気はと訊かれますが、私なら「あなたが40人集まっているのと同じ」と答えるでしょう。

 二つ目は「進学校としての魅力」です。
 どんなキャリアに進むかを支えるのは「志」だと思います。本校の進路指導の強みはそうした志を育てるキャリア教育を数多く実践しているところだと思います。熊谷市が生んだ荻野吟子のように、高い志をもって自分の道を切り拓いてほしい。そのための進路指導・進学指導を行っています。これは私どもが抱く「県北のトップ進学校としての矜恃」でもあります。そして、熊女の大きな特色の一つに、「どの学力層からも難関大が狙える」というのが挙げられます。実は、この特色はお隣の熊谷高校でも同じような傾向があると聞きます。
 ここに学力を追跡したデータがあります。こちらは今年の3月に本校を卒業した者たちのデータです。(中略)このデータを追跡し、どの大学に進学したかを示したものがこちらです。高校入試で高い得点だった生徒、平均点付近の生徒の進学先は、もちろん、国公立大学、早慶上理、G-MARCHなどへの進学者が数多く出ています。注目していただきたいのは、高校入試ではあまり振るわなかった生徒たちの進学先です。このゾーンの生徒でも、高校3年間で実力をつけ、国公立大学、早稲田大学、G-MARCHなどへの進学者が出ているのです。
 このことは、生徒たちの「伸びしろ」を引き出せた結果であることに他なりません。どの学力層からも難関大が狙え、高校入試結果からの逆転も十分可能であることを示しています。

  三つ目の魅力は「iPadを使った学び」です。
 iPadは保護者負担でご用意していただくことになりますが、月々低廉な額を3年間のお支払いいただくことで、このiPadが使えてしまうんです。熊女ではコロナ禍の終わりから教育DXを推進していますが、最終的には生徒たちの学びのインターフェイスとなる端末の機種選びがとても大事だと考えました。そのためには、ペン入力の環境が重要であり、その環境で定評のあるapple社のiPadを採用することにしたわけです。こちらの写真はその一例ですが、「GoodNotes」という電子ノートでは世界的にもシェアの高いアプリを活用しています。授業中、生徒たちはこのアプリを使って上手にノートをとっています。

 最後、四つ目は「課外活動に全力投球できる」ということです。
 女子の生徒数は共学校の倍です。熊女の定員は3学年合わせて960名。そのため、部活動や同好会等の数はおのずと多くなります。例えば、テニスではソフトと硬式がそれぞれあり、音楽系では、先ほど美しい歌声を披露してくれた音楽部はもちろん、フォークソング愛好会を含め4つの団体があります。また、チアリーディングとダンス部がそれぞれ部と活動しているなど、共学校と比較してより多くの部活動があることに注目してほしいと思います。
 そして、「課外活動から育まれるリーダーシップ」、ここにも注目していただきたいです。皆さんの中学校では、清掃の時間に「男子、ゴミ捨てお願いね」となることはありませんか。これは力仕事イコール男の仕事という考えに基づくもの、すなわち、ジェンダーバイアスと呼ばれるものです。別学校では男や女という性的役割はありません。生徒たちですべての役目を負うからです。生徒会長や部長といったリーダーシップはもちろん、様々な学校行事などを通じて幅広く経験できるところが女子校の強みなのです。 

 お手元の学校案内には、今年度のコンセプトとして次の三つのことが記されています。「授業力の熊女」「学びのマネジメント」「かざさん花の冠を」、の三つです。この三つを意識しながら、目を通していただければ幸いです。

 熊女では生徒一人ひとりが色とりどりの花を咲かせています。
 それぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが熊女なのです。

 学校の様々なニュース・情報は、ホームページはもちろん、県公立高校でフォロワー数第2位を誇る「熊女公式Instagram」でもご案内しています。本日はどうぞ最後までよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

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始業式(心を強く持って、粘り強く最後まで頑張ること)

 新学期がスタートしました。3年生は共通テストまであと10日となり、いよいよ本格的な大学入試シーズンを迎えます。ここまで来たら、体調に留意し、これまでの自分の頑張りを信じて、最後まで諦めることなくチャンレンジしてほしいと思います。
 1・2年生にとっては、共通テストまでのカウントダウンが始まっています。1年生はあと2年、2年生はあと1年です。この時間は全国の高校生たちに平等に与えられているものです。どんなマネジメントを行うかは貴女しだい。目標とのギャップをアセスメントし、そのギャップを埋めていくマネジメントをしっかり行っていください。
 始業式での校長講話を掲載します。

【校長講話】
 皆さん、おはようございます。
 令和7年、新しい年のスタートです。十二支の暦で言えば今年は「巳年」です。「巳」とはヘビを意味しますが、古来、神聖な動物として崇められてきました。脱皮を繰り返して成長していくさまから、復活と再生のシンボルとして縁起の良い動物とされています。新しい年を迎え、時には困難に直面することもあるかもしれませんが、負けずに粘り強く頑張っていきましょう。特に、大学入試共通テストまで残り10日となった3年生の皆さん、強い心をもって、粘り強く最後まで諦めずに頑張ってください。
 受験生にとって、この時期はインフルエンザ等の感染症に注意することと、当日のお天気に上手く対応することが大切です。首都圏ではほんの10センチ程度の積雪でも、交通機関が大混乱となるため、受験日当日のお天気はとても気になるところです。

 今朝は、「強い心で最後まで諦めなかった」ある女子中学生のお話を紹介します。
 これは、今から15年前のお話になりますが、川越に住む女子中学生が、石川県輪島市にある日本航空石川高校の推薦入試を受けようと、お母さんと一緒に、試験会場に向かっていたときのことです。彼女は、中学1年生の時、航空自衛隊のブルーインパルスの華麗な飛行を見て以来、パイロットになる夢を持ち続けていました。母と娘は試験日の前日に川越を出発し、新幹線と在来線、バスを使ってその日の夕方には輪島市に到着する予定でした。当時は北陸新幹線の開通前で、在来線に乗り換える必要があったのです。上越新幹線で新潟県長岡市まで行くと、あたりはものすごい大雪で、在来線は立ち往生のうえに、復旧の目途さえ立たない状況だったそうです。中学生は「もう間に合わない」、「空を飛ぶという私の夢は終わったんだ」そう思ったそうです。日付が変わって、試験当日の午前0時、試験会場までの道のりはまだ300キロありました。
 中学生は、雪の降りしきるホームに立ちすくみ、只々泣くしかありませんでした。しかし突然、彼女のお母さんが「諦めたら終わりよ」と娘をたしなめると、大雪の中、長岡駅を降りて、道路を走る車に向かって傘を振り回し始めたのです。そうです、ヒッチハイクを試みたのでした。いつしか外は吹雪になっていましたが、二人は何時間も歩き続けました。
 午前4時半ころ、ガソリンスタンドで給油している大型トラックが目に入りました。運転手に駆け寄って事情を話すと、神戸に行くというその運転手は「金沢までなら」と二人を乗せてくれました。運転手は「俺にも同じ年頃の娘がいるんだ」と言い、「受験生なんだから、少しでも寝ときな」と川口さんの体調を気遣ってくれたそうです。
 夜が明けるころ、トラックは金沢に入りました。しかし、金沢からでも輪島までは路線バスで2時間以上かかります。すると「よし、輪島まで行っちゃる」と、その運転手さんは突然トラックの進行方向を変え、試験会場に向かってくれました。二人が試験会場に着いたのは午前9時、試験開始のわずか10分前でした。運転手さんは連絡先も告げずに去って行きました。
 このように、人生にはいろいろなことがあります。強い心を持って挫けず、弱音を吐かずに遮二無二頑張ることが必要な場面もあるのです。

 突然ですが、皆さんはお笑い芸人のゴルゴ松本さんをご存知でしょうか。
今の深谷市、旧花園町出身で、熊谷商業時代は野球に打ち込み、春の選抜甲子園大会も経験したことのある方です。その松本さんは、2011年ころから少年院を訪問し、「命の授業」を行っていることでも知られています。ご本人のお笑いのネタである「漢字」を使った講演は、ウィットに富んだ素晴らしいものです。その松本さんが「強い心を持つこと」について、こんなお話をされています。

 弱音を「吐」かなければ夢は「叶」う。

「弱音を吐く」と云うのは非常にネガティブなことであり、人間の口というものは良いことも悪いことも吐き出すものなので、口にプラスとマイナスで「吐く」という字になる。だが、そのマイナスを取ると「叶う」という字になる。弱音を吐かなければ夢が叶う。マイナス思考を無くしてプラス思考になれば願いは叶うというのです。
まったくそのとおりだと思います。 古くから「1年の計は元旦にあり」と言います。多くの人が、新たな年を迎えて、その年の目標を立てています。皆さんも、「今年こそは」と目標を新たにしているはずです。ぜひ「強い心を持って」頑張って欲しいと思います。

 ところで、先ほどの中学生はその後どうなったと思いますか。
 実は、時間ギリギリで間に合ったその試験で課された問題は「私が感動したこと」という題の作文でした。彼女は、パイロットになると言い出した自分に、最初は猛反対しながらも最終的には懸命に励ましてくれた母のこと、神戸への積み荷の到着が遅くなることを承知でわざわざ遠回りして会場に送ってくれた運転手さんのことを思い浮かべながら、懸命に書き上げたそうです。そして、見事合格しました。彼女は、その後、航空大学校に進学すると、ついには憧れの航空会社に就職することとなりました。
 弱音を吐かず、心を強く持って頑張った人は、夢を叶えることができるのです。

 熊女では、生徒一人一人が色とりどりの花を咲かせています。勉強に頑張る、学校行事に精力的に取り組む、そして、部活動に夢中になる、様々な場面を通じて、それぞれのゴールを追い求め続けています。
 それぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが「熊女」なのです。

 

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終業式校長講話、一休和尚の頓智を考察する

 師走も残りわずかとなりました。
 日本人は季節とともに節目をよく考える民族です。年の瀬はこの1年間を振り返り、今年の目標やゴールに対して、自分はどう努力できたであろうか、成果は達成できたかなどと考えるものです。熊女では生徒に身に付けてほしい力に「学びのマネジメント力」というのを掲げていますが、現時点で自分自身の努力や頑張りをアセスメントして、目標とのギャップをしっかり測ること、その距離感が掴めたら、どうやってそのギャップを縮めていくかを考えてること、これが学びのマネジメントです。
 多くの日本人がこの1年を振り返る今こそ、皆さんもそれぞれの自分の頑張りを振り返ってみてください。そして、来年につなげるためのマネジメントをすることが大切です。

【校長講話】
 皆さん、おはようございます。
 皆さんに問います。「なるようになる」という言葉、どう受け止めますか?
 頓智で知られる一休和尚はご存知でしょうか。「好き好き好き好き好き好き♪」という歌が脳内に流れている人は昭和生まれの先生方に多いかもしれませんが(笑)、一休宗純(そうじゅん)は、室町時代の臨済宗大徳寺派の僧侶です。その一休和尚が臨終の際に「この寺に一大事があった際はこの箱を開けよ」と遺言を残し、お弟子さんに小さな箱を渡しました。それから長い年月が経ち、大徳寺にその存続を揺るがす大問題が起きた際、一休和尚の遺言を思い出し、この箱を開けることにしました。箱の中には紙切れが一枚だけ入っていて、「なるようになる。心配するな。」と書かれていました。

 このメッセージ、皆さんならどのように受け止めますか?
 思うに、私は「どうせなるようにしかならないのだから、心配なんかしても仕方ない」というネガティブなニュアンスでは決してないのだと思っています。「なるようになる。心配するな。」という言葉の前には「なすことをなせ」というメッセージが前提としてあると思っています。つまり一休和尚は「なすことをなせ。そうすれば、なるようになる。だから、心配するな。」と言いたかったのだと思うのです。

 「なす」と「なる」は対になる言葉です。これらに共通する「な」というのは漢字を充てれば「生(生きる)」という字になり、意味的には「発生」という意味を表します。英語に置き替えればhappenということであって、事態の成立を表現しているという意味では共通しています。違いは「す」と「る」が付くか付かないだけ。

 「す」は使役の助動詞なので、「なす」は、人間の意志に裏打ちされた行為を指します。他方、「る」は自発の助動詞なので、「なる」は、自然に発生する出来事を指します。つまり「なす」は英語でsomeone makes things happenと言い換えられ、誰かの意志によって変えられるもの、力の及ぶものということになり、「なる」は、things just happenと言い換えがきるように変えられないこと、力の及ばないこと、すなわち、コントロールできないものということになるわけです。前者を人為といい、後者を自然というわけです。

 米沢藩の第9代藩主で江戸時代屈指の名君として知られた上杉鷹山は「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」と云ってますね。成し遂げようとすれば何事も実現でき、成し遂げようとしないから実現できないのだと説いた、この言葉は、実際には鷹山が政治改革・財政再建を成し遂げたが故に説得力がありますが、「意志あるところには道は拓かれる」ということを説いているわけです。

 一大事を目の前にしたとき、なすべきことをせずに「なるようなる」と手をこまねいているだけではダメです。腕組みをしたまま、過ぎ去ったことを思い出して悔やんでみたり、来るか来ないか分からない未来のことを思い煩ってみたりしても仕方ない。
 そうではなく、先ずは、なすべきことをなさねばならない。一人で難しければ、みんなで知恵を出し合い、汗をかき、目の前の事実が少しでもコントロールできるように努力しなければならないのです。3年生はあと少しというところを迎えている人も多いと思いますが、「なさねばならない」のです。1・2年生だって、「なるようになる。心配するな」という状態になるまで自分を高めていく必要があります。

 令和6年が終わります。皆さんにとってこの1年はどんな1年だったでしょうか。自分の意志によって未来を切り拓く第一歩を踏み出せたでしょうか。そして、知恵を絞り、努力を重ね、誰かのために役立つことができたでしょうか。この年の瀬に、自分自身の心の成長を振り返るとともに、新たな1年に向けて、大きな夢や大きな志を抱いてほしいと思います。鷹山のことばをもう一度かみしめておきます。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」

 それでは、今年最後のコール・アンド・レスポンス、行きまーす。

 「熊女では、生徒一人ひとりが色とりどりの花を咲かせています。
  ぞれぞれのトゥルーカラーが輝く学校、それが熊女なのです。」

 それでは新年1月8日(水曜日)、皆さんと元気に再会できることを、、、

  私の話は以上です。


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